2013年9月29日日曜日

メルボルン滞在中に行きたい場所

あれこれしている間にあっという間にメルボルン生活も6ヶ月目に入ろうとしている。実は旅行に殆ど行けておらず、この機会に行きたい場所を整理してみる。

○ ニュージーランド
○ ニューカレドニア
○ タスマニア
○ キャンベラ
○ ゴールドコースト
○ アリススプリングス
○ ニューカッスル
○ エアーズロック
○ パース
○ ダーウィン
○ シンガポール
○ インドネシア

来年年明け以降はビジネススクールも夏休みだし、チャンスかと。赴任期間も1年を切っているので、計画的に行かないとあっという間に終わってしまうな。

2013年9月22日日曜日

大まかなスケジュール

非常にざっくりとしたスケジュールであるが、頭の整理のためにも記しておく。

2014年6月:現在の大学院でのプログラム修了
2014年6月:TOEFL, GMATスコアメイク完了
2014年7月~9月:指導教員への推薦状のお願いや、エッセイ書き書き
2014年9月:オーストラリアでのお勤め終了(のはず)
2014年9月~年内:奨学金と大学院への応募
2014年10月:TOEFLとGMATを活用して社内MBAの公募にも応募してみる。但しこの場合は2016年夏の渡航。

2015年1月~3月:社内MBAも含め合否判明、奨学金の結果もここまでには分かっているでしょう。
2015年夏:渡航?

GMATはMBAにでも行かない限り必要無いのだが(つまり殆ど使う可能性無い)、今の大学院に入るときに比較的高いスコアを要求され(650点)、約2ヶ月の準備でギリギリ到達するという展開だったため、せっかくなのでもう少しきちんと勉強して高いスコアを取っておきたいと考えている。TOEFLも100点超え目標。そうすると、年明けからテスト対策用の勉強を再開しよう。

ちなみに、国内大学とのダブルディグリーを狙うとなると、6月に書類提出、9月に筆記・面接といったスケジュールとなる。

2013年9月15日日曜日

海外留学に向けての奨学金リスト

情報収集目的で海外留学(大学院・社会系)のための奨学金情報を調べている。自分にとって奨学金の目的は、金銭的な支援より、専攻プロセスを通じて自分の将来キャリアに対してコミットメントが出来ること。コミットメントというより、アンカーという概念の方が近いかもしれない。会社からの派遣で無い限り、海外留学(大学院)後のキャリアは不透明だ。たとえ将来ビジョンが少しふらふらしていても、大学院の合格は可能かもしれないが、奨学生は不可能だろう。この観点からも、奨学生にならぬ限りは大学院に行かない、くらいの気持ちでも良いかもしれない。

しかし一方で、社会人で生活している途上に奨学金に応募すると、まとまった収入があるとして弾かれるんじゃなかろうかという気もする。また、奨学金の中には学内審査を経て応募、というプロセスを経るものもあり、そうするとやはり日本の大学院に一度は入ったほうがいいのかもしれない。以下、自分の頭の整理も含めて、応募可能性がある奨学金をまとめてみる。生命科学系限定の奨学金や厳格な年齢制限がある場合等、明らかに応募要件を満たしていないものは割愛。

【名称】吉田育英会
【URL】http://www.ysf.or.jp/scholarship/visitor/universal/overseas.php
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】個人募集(公募)も可能だが日本の大学院在籍が必須。
【支給期間】2年以内
【支給額】生活滞在費相当月額20万円、学費相当250万円以内、往復の渡航交通費
【年齢制限】35歳未満
【英語力】iBT100点以上 or IELTS7.0
【採用人数】約5名
【大まかな選考スケジュール】9月末書類提出〆⇒11月上旬面接、内定⇒翌年4~9月留学先決定

※面接に呼ばれるのが15名程度、そこから絞り込まれる由。

【名称】経団連日本人大学院生奨学金
【URL】http://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/ishizaka/ishizaka.html
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】日本の大学院在籍が必須。
【支給期間】2年以内(在学期間中)
【支給額】年間350万円を一律支給
【年齢制限】35歳未満
【英語力】iBT92点以上
【採用人数】1名
【大まかな選考スケジュール】9月中旬書類提出〆⇒11月下旬~12月中旬面接

※海外の大学・大学院に1年以上留学した経験が無いもの、という条件が若干微妙だが、大学時代の交換留学は1年未満だし、今のオーストラリアも1年未満だから大丈夫だろう。

【名称】伊藤国際教育交流財団日本人奨学金
【URL】http://www.itofound.or.jp/scholarship-jp/about-the-program
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】日本の大学院在籍が必須。
【支給期間】2年以内(在学期間中)
【支給額】生活費月額18万円、授業料実費(300万円以内)、往復旅費実費
【年齢制限】29歳以下が望ましい
【英語力】iBT92点以上
【採用人数】10名(プログラムA)
【大まかな選考スケジュール】8月中旬書類提出(応募書類の請求、ダウンロードの〆があり)〆⇒面接を経て12月中に結果が通知

倍率は15倍程度。年齢制限がネックか。

【名称】平和中島財団
【URL】http://hnf.jp/shogaku/
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】日本の大学院在籍が必須。
【支給期間】2年以内(在学期間中)
【支給額】生活費月額15万円
【年齢制限】無し
【英語力】iBT100点以上
【採用人数】15名
【大まかな選考スケジュール】10月末までに書類提出、1月末までに結果通知、面接が2月、3月上旬までに結果通知

倍率は15倍程度。

【名称】本庄国際奨学財団
【URL】http://hisf.or.jp/sch-j/index.html
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】日本の大学院在籍が必須。
【支給期間】1年から5年(在学期間中)
【支給額】生活費月額20万円(1~2年の場合)
【年齢制限】無し
【英語力】特に記載無し
【採用人数】3~5名
【大まかな選考スケジュール】11月末までに書類提出、1月末までに結果通知、面接が2月、3月上旬までに結果通知

倍率は40倍程度。最終的には博士号取得を目的とすることが望ましいとされている+卒業後は日本での就職が必須。

【名称】日本学生支援機構 海外留学支援制度(長期派遣)
【URL】http://www.jasso.go.jp/scholarship/long_term_h.html
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】個人募集可能。但し、卒業大学経由となる場合も(要確認)。
【支給期間】在学期間中
【支給額】生活費月額約15万円、授業料1万ドル相当+α(個別対応)
【年齢制限】35歳未満
【英語力】iBT100点以上
【採用人数】昨年は43名
【大まかな選考スケジュール】11月15日までに書類提出、1月中旬までに結果通知、面接が1月下旬~2月上旬、2月下旬に最終結果

倍率は年によって違うが、大体3~10倍程度。大学取り纏め応募を経由しているためか、応募者数は相対的に少ない。来年以降は官民協力の新たな枠組みが導入される予定の由。ダブルディグリー推奨なのが興味深い。

【名称】エラスムス・ムンドゥス奨学金
【URL】http://eacea.ec.europa.eu/erasmus_mundus/funding/scholarships_students_academics_en.php
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】個人募集可能。
【支給期間】在学期間中
【支給額】年額最大24,000ユーロ
【年齢制限】年齢制限無し
【大まかな選考スケジュール】毎年9月から2月が募集期間、5月に結果が発表される。

大学時代にこれに似たようなスキームでアメリカに留学してきたメンバーとのゼミに入っており、なじみのある制度。大学を選ぶというより、履修するコースを選ぶイメージ(数校で学ぶので)。

【名称】フルブライト奨学金
【URL】http://www.fulbright.jp
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】個人募集可能。
【支給期間】12ヶ月間
【支給額】全額支給
【年齢制限】35歳以下が望ましい
【英語力】iBT80点以上
【採用人数】約20名 (MBA, MPA等のコースは別に有り、5名)
【大まかな選考スケジュール】4月~5月31日書類審査、予備審査を経て、9月~11月に面接審査。

いわずと知れた超有名奨学金。書類には500人くらいアプライし、100人程度に絞込み。その後面接で20名程度が合格。海外在住経験が少ない人が優先されるので、非帰国子女の自分には有利かもしれない。また当然だが、アメリカの大学院に行くことが必要。


【名称】チーヴニング奨学金
【URL】http://www.uknow.or.jp/uknow/special/scholarship/recruit.htm
【個人募集の可否(大学取り纏めかどうか)】個人募集可能。
【支給期間】12ヶ月間
【支給額】授業料10,000ポンドまで、滞在費月約1,000ポンド
【年齢制限】年齢制限無し
【英語力】IELTS6.5またはTOEFL79点以上
【採用人数】去年は2名
【大まかな選考スケジュール】11月中旬に書類審査締め切り、1月末までにLong list、2月中旬にShort list、3月下旬~4月中旬面接、5月末までに合否判明。

こちらもいわずと知れた超有名奨学金。実務経験が重視される。日本人で合格しているのは年間2名程度。イギリスの大学院に行くことが必要。大学院の専攻と同時並行で走らせる必要がある。イギリスの大学院出願が9月末締め切りとすると、ほぼ同じ時間軸。

2013年9月8日日曜日

メルボルンビジネススクールでの経験と大学院進学

仕事をしながらメルボルンビジネススクールに通っているが、プチ・MBA経験といったところである。取っている授業は多くないものの(週2コマ)、Assignment、Study Group、Tripその他飲み会…と、パートタイムとフルタイムの学生の垣根は一切無く、授業がある日と土日は結構「学生生活」である。

はからずも「プチ・海外MBA生活」を送っているが、ビジネススクールで得られるものと自分のキャリアの方向性を比べた際、そこまでマッチングする部分は多くない。起業・スタートアップを含め、起業家のモチベーションは無く、またビジネスの経営者というのも少し違う。大学卒業後会社での8年間のキャリアを振り返ると、所属する組織はさておき、その国の経済、金融システムに何がしかの影響を与えられる仕事にやりがいを感じる部分が大きかった。

また、ある程度パブリックな仕事の方が向いているという気もしており、民間企業では出来ないことをデザインする仕事として、パブリックな仕事は意外と(学生時代に思い描いていた以上に)、やりがいはあるんだろうなぁと思うようになった。もちろん、パブリックな中にも民間企業の観点は必要であり、このブリッジが出来る人材を目指してみたい。

高校時代や大学時代の序盤に思い描いていた「国際公務員」っていうのも、改めて考えてみると魅力的だなぁと。実際、仕事で交流する「国際公務員」を見てそう思うようになった。それで、必要要件はなんだろうかと考えてみると、英語力や実務経験といった部分ではそんなに劣後する部分は無いと思っているが、決定的に足りないのは「修士号以上の学歴」である。

学生時代からこの点に気づいてはいたものの、元々海外の大学院に行くにしろ、職務経験無しはオススメしないとのアドバイスを多く貰ったこともあり(これは正しかった)、まず就職し、今に至る。

というわけで、仕事には全力を注ぐ一方、キャリアの選択肢として海外留学は常に意識をしていた。ただ、上述の通りあまりMBAについてはそこまで関心が無く、また卒業後、それを出身会社に還元するという課程で、コミット出来ない部分もあるように思い、会社の選考は受けていない。

また、海外で学位を得ないと意味が無いと思っており、海外のMPA等の公共政策か経済学・ファイナンス専攻修士が現実的かつ理想的な選択肢だと思っている。その形式については、

①完全自腹で私費海外留学
②奨学金を受けて海外留学
③日本の大学院に留学してダブル・ディグリー

ということになるだろう。「衣食足りて礼節を知る」であり、例えば親や金融機関に借金をしてまでガチガチの生活を送るのはどうか、という気持ちも有り、普通に貯金して行けばいいと思っている。ただ、その中でも奨学金は魅力的であり、金銭面以外にも、そのプロセスを経たことで生まれる人脈も然ることながら、安っぽい言葉で言えば「箔」が出てくる部分もあるだろう。というわけでこれは引き続き注目。

後、意外と面白いのは③。多くの大学院が提供しているわけでは無いが、2年乃至2年半で日本と海外の大学院の修士が取れる。日本の大学でもう少し勉強すれば良かったな、と思っている部分もあるので、これだと一石二鳥な感もある。このblogで情報収集した結果を蓄積していってみよう。



2013年9月1日日曜日

海外における日本人

短絡的な分類を行うつもりは無いが、自分と同世代(20代後半~30代前半)で海外にいる人間に関して、その海外にいる「理由」はある程度分類が出来るように思う。

まずは、①自分の様に日系企業の駐在員として一定期間滞在するケース。次に、②現地の大学を出るなりして、現地企業で働いているケース。そして、③日本で社会人経験をした後、一念発起?して海外留学をして学生生活を送っているケース。海外の大都市であれば、①と②を比べるとやや②が多いのかな、という肌感覚がある。もちろん、④外国人と結婚してそのままビザを取り滞在、という方もいらっしゃるが、今のところ自分の生活範囲でこの方々たちと知り合うことは無い。

さて、そんな中で色々な人と交流してみると、ある程度の共通点が見えてきて、

①の皆さんは、一般的に日本に比べると仕事の環境は楽になり、家族との帯同であれば殊更、海外生活を満喫、ということだろうと思う。自分は案件の関係で日本とあまり変わらない就業時間ではあるが、これは例外。従って①の人たちとの会話は必然的に、(日本では定番の職場の愚痴、とは違い)メルボルン、オーストラリアでのレクリエーション、旅行、食事、といったアイテムになる。

②の皆さんは、人によるけれど、海外生活が長ければ長いほど、日本に対して若干シニカルな雰囲気も出てきているように思う。自分は海外で戦ってきたという自負・プライドがあるからか、たまに「海外は大変、日本は楽」という雰囲気が前面に出過ぎる人もいる。これは自分が大学時代アメリカに留学していたときに、現地の中学・高校からそのまま大学に進んだ正規学生(日本人)の何人かからも感じた。この不思議な違和感は今も拭えていないんだな、と改めて感じている。

今の自分にとっては、①の皆さんとの会話からは、キャリア感といった切り口で「おお!」という大きな刺激を受けることはあまりない。これは自分がシニカルだからかもしれないが、あまり「海外で楽をする」というメンタリティに首肯出来ない部分もあるんだろう。当然、人間的に素晴らしい方も多く、現地生活上のネットワークを広げることは大歓迎だし、楽しい会話で時間を過ごすのは大好きなのだが、うまく立ち位置を考えないと、と思って帰路に着くことが多い。

一方②の皆さんは、日本人同士の会話でも、海外生活が長い方になると、それこそ言葉遣いとか、態度が日本の常識と逸脱することがあり、こうなると幻滅してしまうのも事実。海外に出たら、海外で生活している人らしくコミュニケーションをするべきであるが、それは外国人(現地人)相手の話であって、日本人に対してはそれで良いとは思わない。とはいえ、彼・彼女らが持つ日本・日本人に対する問題意識は納得出来る部分は多く、自発的な行動で道を開いてきた彼らが持つ情熱、というのは素直に尊敬する部分もある。

というわけで、自分としては①と②の間くらいのメンタリティがちょうど良いと思っているが、この1.5人材、あまりいない。結局日系企業の駐在員であれば、特に不自由ない生活が出来るわけで、そもそも何が不満・不安なの?という話と思う。

1.5メンタリティだと、自分みたいに駐在員生活をしながら大学院にいくという選択も決しておかしくは無いはず。ただ、これは現実的には殆どいないだろう。海外駐在した友人の奥さんが海外での主婦生活と並行して大学院に行ったという話を聞いたが、これでもまだまだ少数派。

個人的には、自分の経験も踏まえ、やはり日系企業駐在員の方にも、大学院に通うことをオスイスメしたい。日本人以外にも現地の人間と交流することは大いに意味があると思うし、英語力はさておき、欧米の人間と議論する際、どういう点に気をつければ良いか気づく部分が多いからだ。

学生生活の話は今後も具体的なエピソードを交えながら書いていきたいと思う。

2013年8月24日土曜日

Finding Commonalities

一度、外国人の女性と日本で会話していたとき、「日本人は『共通点』(Commonality)を探しすぎる」という話を受けたことがある。「同じ会社、同じ組織、同じ出身地、同じ出身地、大学…といったことを知って初めて仲良くなろうとする姿勢が見える」というのだ。そんなの外国人も同じじゃない?と聞くと、外国人にとってももちろん、共通点が無いと友達になりにくいのは当たり前、だけどそのハードルはもっと低い、という説明を受けた。

今まで、自分の外国人の友人は留学先での知り合いが中心であり、つまり「同じ大学」であるので、結局外国人とも「共通点」を通じて知り合ってきた。よって、この「共通点」に対する考え方について、当時は彼女の意見を素直に受け取れることは出来なかった。

ただこちらに来て3ヶ月を過ぎ、仕事はさておき大学院生生活も1ヶ月を過ぎると、何となく彼女の言うことが分かってきた気がする。こちらで知り合う大学院生の友人は、単にパーティの席で隣だったとか、違う専攻、違う学年だけどとある授業のStudy Groupで一緒、とかそれだけの繋がりで、そこから関係が深まっていく。共通点のハードルが低い、という点は大いに納得出来る。

一方で、海外で日本人とどう知り合っていくかというと、それこそ「日本人での集まり」にほぼ限定されるのが実態だ。大学院では、中国人、韓国人、インド人、とアジア人は多いものの、日本人は今まで見たことが無い(それなりに大規模校なので、交換留学生など、学部にはいるかもしれないが)。

オーストラリアが移民を受け入れてきたという歴史的な背景も関係しているだろうが、こちらに来て、特に大学院に行っているとあまり自分が日本人だと意識する必要が無い。もちろん、留学生の中で最大勢力を誇る中国人は、授業内容や課題の共有をすべく、そこかしこで中国人同士で集まっている。ただ街中に出ると、国籍で集まっているのは日本人だけだと思う。自分は帰国子女でも無いし、日本人以外の国籍のアイデンティティがあるわけでも無い。ただ昔から、日本人であることがAdvantageにもDisadvantageにもならない環境に身をおきたいと思ってきた。

グローバル人材、という言葉があるが、自分なりにグローバル人材を定義すると、国籍というCommonalityを気にしなくても活躍出来る人材なのだろう。即ち、語学力や専門性といったハードスキルも然ることながら、多様な価値観の中に身を置き、それでも自身の課題を解決出来るか、といったソフトスキルも求められる。単に日本企業で海外駐在している日本人は、日本人であることがadvantageになるので、それはグローバル人材とはいえないのでは、と思っている(と自戒を込めて…)。

何れにせよ、こういったことを自然に感じられるという意味で、大学院の時間は非常に貴重だ。授業の日は授業後はオフィスに戻ることも多く、なかなかしんどいが、頑張ってみよう。

2013年8月5日月曜日

回転ドア(Revolving Door)と継続性(Consistency)

次期FRB議長の人選を巡って、ローレンス・サマーズ氏の名前が登場している。氏は(学術的な部分や官僚としての業績を一旦横に置くと)「公的機関と民間の人事を交互に務め、うまいこと稼いでいる」という印象を持たれているとのことだ。曰く、FRB議長という公益性の高い職業にあっては、民間企業との繋がりが強いと問題になる。民間企業と公的機関間の人事の回転ドア(Revolving Door)現象は氏に向かい風になるのでは無いか…と。





確かに、欧米(特に米国)の金融機関やシンクタンクのトップ、著名な大学教授の略歴を見ると、見事に「回転ドア」な面々が多い。生え抜きが重視される日本とは違いが際立つ。どちらが良いのかという点は個々の国の事情、慣習によって異なるだろうが、一般的に言えば、専門性を磨くことが出来れば、あとは属する組織は問わないというスタイルが望ましいと思う。よって私自身は、「軸がしっかりしていれば」回転ドアを通ることは肯定的に捉えている。つまり、回転ドアを何度通ろうと確たる個性とパーソナリティがあれば問題無いと。ジェネラリストの時代は終わる・・・「ワーク・シフト(原題 The Shift)」でリンダ・グラットン氏が指摘した点は首肯する部分がいくつもあった。


さて、Economist誌は日本の労働慣行を「One Shot Society」と表現した。つまり、一度就職してしまえばその後特に変化は無い(大学入学も同様)。最初のショットが本当に重要であることの比喩である(なお、韓国は日本以上にOne Shotと書かれていた)。

生え抜きという観点では「継続性(Consistency)」が重視される。この度離任する米国駐日大使
のジョン・ルース氏は、「私は5人の首相と付き合った。後任のジャクリーン・ケネディ次期大使は1人だけと付き合うのでうらやましい」と語ったそうだ。実際のビジネスもそうだが、「人脈」が寄与する場面は相応に多い。結局ビジネスは会社対会社の契約といっても、それを企画立案、実行するのは生身の人間なので、心情が全く影響しないというと、そういうことは無いだろう。

ルース大使とは、アメリカ留学時代の大学が開催した日本人同窓会で会う機会があった。大使は同学の卒業生では無いが、開催地が米国大使公邸のため、招待されていたのだ。会話したのは2、3分程度ではあったが、「トモダチ」という日本語をいたく気に入っているそうで、「海外に行って『トモダチ』を作れるのはとても素晴らしいことだ。留学であれ、海外勤務であれ」と仰ってくれたことが印象に残っている。どこの会社で働いているか聞かれ、「(その会社)もアメリカのビッグトモダチ!」と語っていたが…。

ルース大使が果たして、日本の元首たちと「トモダチ」になれたかどうかは知る由も無いが、彼自身は比較的日本組織の中でも「ウケ」が良かったそうである。確かに、短時間であったものの、大使というよりはフレンドリーな企業経営者といった風情で誰にでも分け隔てなく接するタイプの人物なのだろう。

米国は一般的に回転ドアを通ることでキャリアアップが望めるが、日本ではその逆といわれる。一定の継続性を尊ぶのは日米共通といえ、この違いがあるのは、極めて漠然と言うと、専門性を根幹に持っているかどうかの違いなのかもしれない。

写真は大使公邸での1枚。